Richard Clarida
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マクロ経済の不安定性を背景に、成長率の低下とインフレ率の上昇を予想する見方が市場のコンセンサス
政策の選択が市場を混乱させ、消費者や企業の信認を揺るがしています。
先進10カ国・地域(G10)の市場予想は、多大なインフレ圧力の中、成長率の低下に急激にシフトしており、マイナス成長すら予想されています。
広範なスタグフレーション期が間近に迫っているのでしょうか?中央銀行は、成長、雇用、物価の安定性に対する相反するリスクをどう管理できるのでしょうか?
コンセンサス(市場予想)成長率 vs. インフレ率
2025年4月現在のデータ。出所:ブルームバーグ、PIMCOブルームバーグの市場コンセンサスは、G10のGDP年成長率(前年比%)と消費者物価指数(CPI、前年比%)インフレ率について、調査対象参加者の予想を平均したものです。
外国人投資家の米国債保有比率は、さらに低下する可能性
スタグフレーションの懸念が一層強まっている背景には、2014年以降、米国債の発行分が外国人投資家によって以前と同じペースで買い支えられていないことがあります。
こうした長期的な傾向は、最近トランプ関税に直面し米国債を大量に保有する国によって、さらに拍車がかかる可能性があります。外国人投資家は、不確実性を理由に米国債の購入ペースを減速したり、やめることが考えられます。
外国人投資家の米国債保有残高(公的債務残高に占める割合)
2025年4月現在のデータ。出所:ヘイバー・アナリティクス、ブルームバーグ、米財務省、米連邦準備制度理事会(FRB)、PIMCOその他の見通しやリスクに関する情報については、付表をご参照ください。
スタグフレーションの圧力下でも、底堅く見える米国の労働生産性
それでも、エネルギー危機の影響もあり、米国の労働生産性が大幅に低下した1970年代のスタグフレーション期とは異なり、米国の労働生産性はかなり底堅く推移しています。
今後、生産性の高い労働市場は、インフレ圧力と貿易関連の不確実性が米国の経済成長および活動を阻害する可能性を、ある程度バランスするのに役立つ可能性があります。
米国の時間あたり労働生産性伸び率
2025年1月現在のデータ。出所:ブルームバーグ、BLS、PIMCO過去の実績は将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。