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プロと読み解くチャート

リチャード・クラリダが解説する景気サイクルの見方

元米連邦準備制度理事会(FRB)副議長のリチャード・クラリダが、成長率やインフレから債務、労働指標まで、景気サイクルにおけるマクロ経済の転換点を示す3つのチャートをご紹介します。

マクロ経済の不安定性を背景に、成長率の低下とインフレ率の上昇を予想する見方が市場のコンセンサス

政策の選択が市場を混乱させ、消費者や企業の信認を揺るがしています。

先進10カ国・地域(G10)の市場予想は、多大なインフレ圧力の中、成長率の低下に急激にシフトしており、マイナス成長すら予想されています。

広範なスタグフレーション期が間近に迫っているのでしょうか?中央銀行は、成長、雇用、物価の安定性に対する相反するリスクをどう管理できるのでしょうか?

コンセンサス(市場予想)成長率 vs. インフレ率

タイトル:マクロ経済の不安定性を背景に、成長率の低下とインフレ率の上昇を予想する見方が市場のコンセンサス。サブタイトル:コンセンサス(市場予想)成長率 vs. インフレ率このチャートには2本の線が描かれています。青い線はG10 インフレ率 市場予想 - ブルームバーグ(日次)を表し、緑の線はG10 GDP成長率 市場予想 - ブルームバーグ (日次)を表しています。期間は2023年4月から2025年4月までです。(BBGはBloomberg Global Aggregate Bond Indexの略、G10は世界経済の主要10か国を指し、GDPは国内総生産のことです。)青い線は2023年4月から2024年11月頃まで2.14〜2.19の範囲でほぼ安定していましたが、その後大きく上昇し、2025年4月9日時点で2.65に達しています。緑の線は2023年4月の1.79から2024年4月にかけて1.54まで下降し、その後2025年3月末まで1.54〜1.72の範囲で推移し、2025年4月9日時点で1.47に下落しています。チャート左側には以下のように記載されています。「政策の選択が市場を揺るがし、消費者や企業の信頼を揺るがしています。G10先進国のコンセンサス見通しは、著しいインフレ圧力の中で成長の鈍化、あるいは縮小に急激にシフトしています。広範なスタグフレーションの到来はあるのでしょうか?そして中央銀行は成長、雇用、物価安定という相反するリスクをどのように管理できるのでしょうか?チャート下の脚注:2025年4月末データ。出所:ブルームバーグ、PIMCO。ブルームバーグ コンセンサスは、G10のGDP年間成長率(前年比%)およびG10の消費者物価指数(CPI)インフレ率(前年比%)の予測に関する調査参加者の平均値です。
2025年4月現在のデータ。出所:ブルームバーグ、PIMCOブルームバーグの市場コンセンサスは、G10のGDP年成長率(前年比%)と消費者物価指数(CPI、前年比%)インフレ率について、調査対象参加者の予想を平均したものです。

外国人投資家の米国債保有比率は、さらに低下する可能性

スタグフレーションの懸念が一層強まっている背景には、2014年以降、米国債の発行分が外国人投資家によって以前と同じペースで買い支えられていないことがあります。

こうした長期的な傾向は、最近トランプ関税に直面し米国債を大量に保有する国によって、さらに拍車がかかる可能性があります。外国人投資家は、不確実性を理由に米国債の購入ペースを減速したり、やめることが考えられます。

外国人投資家の米国債保有残高(公的債務残高に占める割合)

タイトル:外国人投資家の米国債保有比率は、さらに低下する可能性。サブタイトル:外国人投資家の米国債保有残高(公的債務残高に占める割合)。このチャートは、1970年から2020年までの8回の景気後退期間(1970年、1975年、1980年、1983年、1990年、2001年、2009年、2020年)を灰色の陰影で示しながら、発行済みの米国国債に対する外国人投資家の保有比率を表しています。チャートの左側には以下のように記載されています。「スタグフレーションの懸念が一層強まっている背景には、2014年以降、米国債の発行分が外国人投資家によって以前と同じペースで買い支えられていないことがあります。こうした長期的な傾向は、最近トランプ関税に直面し米国債を大量に保有する国によって、さらに拍車がかかる可能性があります。外国人投資家は、不確実性を理由に米国債の購入ペースを減速したりやめることが考えられます。
2025年4月現在のデータ。出所:ヘイバー・アナリティクス、ブルームバーグ、米財務省、米連邦準備制度理事会(FRB)、PIMCOその他の見通しやリスクに関する情報については、付表をご参照ください。

スタグフレーションの圧力下でも、底堅く見える米国の労働生産性

それでも、エネルギー危機の影響もあり、米国の労働生産性が大幅に低下した1970年代のスタグフレーション期とは異なり、米国の労働生産性はかなり底堅く推移しています。

今後、生産性の高い労働市場は、インフレ圧力と貿易関連の不確実性が米国の経済成長および活動を阻害する可能性を、ある程度バランスするのに役立つ可能性があります。

米国の時間あたり労働生産性伸び率

タイトル:スタグフレーションの圧力下でも、底堅く見える米国の労働生産性 サブタイトル:米国の時間あたり労働生産性伸び率。このチャートには2本の線が描かれています。青い線は5年移動平均、緑の線は10年移動平均を示しています。 期間は1957年6月から2025年4月までです。 左側の目盛りは、四半期ごとの季節調整済み労働時間当たりの生産量(年率換算成長率)を表しています。1960年代には顕著なピークが見られ、その後1970年代のスタグフレーション期に生産性が低下しました。チャートには生産性が上昇した他の時期として、1980年代の好景気、1990年代の好景気(矢印で下向きに示されている)、2020年代の好景気 、そして現在の全体的な生産性上昇(矢印で上向きに示されている)が記されています。 チャートの左側には以下のように記載されています。「それでも、エネルギー危機の影響もあり、米国の労働生産性が大幅に低下した1970年代のスタグフレーション期とは異なり、米国の労働生産性はかなり底堅く推移しています。今後を見通すと、生産性の高い労働市場は、インフレ圧力と貿易関連の不確実性が米国の経済成長および活動を阻害する可能性を、ある程度バランスするのに役立つ可能性があります。」
2025年1月現在のデータ。出所:ブルームバーグ、BLS、PIMCO過去の実績は将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

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