経済見通しの主な結論
- 成長は予想以上に底堅さを維持
2025年に関税圧力に耐えた世界経済の短期的な成長見通しは、AI関連の設備投資と効率性の向上に支えられ、一段と強固なものになっています。中国の輸出価格の低下は、貿易フローの米国離れの緩和に寄与しました。 - 勝者と敗者が「K字型」の経済トレンドを促進
米国では、AIを導入している資本集約型企業や、テクノロジー主導の株価上昇の恩恵を受ける富裕層が優位に立っています。一方、それ以外の企業や世帯は取り残されるリスクが高まっています。世界的には、貿易摩擦、AIの導入、関連する政策対応により、各国間のばらつきが大きくなっています。 - 方向性が分かれる世界の金融政策と財政政策
英国や一部のエマージング諸国は、実質金利が高く財政余地が限られているため、政策金利が既に中立的な欧州中央銀行(ECB)やカナダ銀行よりも金融政策を緩和する可能性が高いでしょう。貿易圧力が高まる中国では、財政政策の影響力が拡大し、米国では、減税が家計や企業を押し上げると予想しています。
投資へのヒント
- 魅力的かつ持続的な投資機会を提供する債券
アクティブ債券戦略は2025年、この数年で最も良い成果を達成しました。2026年の見通しも有望です。パンデミック後の債券市場の価格調整により、長期にわたる魅力的な投資開始利回りが実現しました。ばらつく経済状況は、アクティブ運用者がアルファ、つまり市場全体に対してアウトパフォームする豊富な手段を提供します。株式のバリュエーションが極端に割高になった現在、投資家には株式並みのリターンの可能性を手放すことなく、質と流動性を高める滅多にない機会が生まれています。 - グローバル分散でリスクを軽減
各国の経済および政策は多様化しており、先進国市場とエマージング市場の両方で投資機会が生まれています。注目すべきは、いくつかの主要エマージング諸国が先進国の債券に対して大幅な実質利回りプレミアムを提供している点です。プレミアムはリスクへの対価であり、そのリスクはシステム全体のものというよりも、より個別的で分散可能な性質へと変化しつつあります。現地通貨建てエマージング債は2025年、先進国との相関が依然として高い時期にポートフォリオの重要な分散手段を提供しながら、高いリターンをもたらしました。 - 信用サイクル後期の環境においては、投資機会を慎重に選択
PIMCOでは、厳格な融資基準や高所得消費者の強さの恩恵を受ける、証券化クレジットやアセット・ベースド・ファイナンスなどの質の高い領域を選好しています。銘柄の選択を優先し、より一般的なクレジットやプライベートの企業クレジットのエクスポージャーを削減しています。
経済見通し:分化する成長ダイナミクス
トランプ政権による税制、貿易、移民政策の抜本的な改革は、米国の実効税率を4倍に引き上げることも含め、世界経済の成長、貿易、投資を抑制すると広く予想されていました。これに対して先進国、エマージング諸国を問わず、さまざまな国の政府が、経済の移行に伴う激変を緩和すべく、予防的かつ的確な財政措置を発表し、各中央銀行は下方リスクへの対応に注力しました。
こうした政策動向が新たな汎用技術であるAIの登場と重なったことで、蓋を開けてみれば、経済成長は驚くほどの底堅さを見せています。その結果、拡大は継続していますが、水面下では顕著なばらつきが起きています。格差が拡大する「K字型」の経済トレンドは、家計、企業、地域全般に鮮明になっています。実際、AI競争とそれに伴う資産効果の恩恵を受けやすい層が、成長を牽引しているのです。
以下のような、いくつかの重要なマクロトレンドが顕在化しています。
- 米国では、競争の激化により企業の価格決定力が制限され、関税関連の物価上昇は抑制されています。大企業は、価格競争と関税コストの吸収による市場シェア拡大を図り、利益率を守るために生産性向上に注力しています。貿易関連業種や移民政策の変更の影響を受ける中小規模の労働集約型企業は、相対的に不利な立場にあります。
- 企業は利益率を守るため、労働コストの管理を目的にAI導入を加速させました。米国では、AI関連のソフトウェアや研究開発投資が急増しました。一方、設備、サーバー、半導体などの部品を含めデータセンター投資は倍増しました。
- 政策と技術の変化も、米国の世帯間の格差拡大の一因になりました。AI主導の株式市場の上昇による資産効果は消費の持続に寄与していますが、その恩恵は低・中所得世帯には届いていません(図表1を参照)。不確実性の高まりを背景に採用が抑制され、貿易やAIの影響を受けやすいセクターで雇用が削減されたため、実質労働所得は伸び悩んでいます。AI関連の設備投資が、住宅を含む他の投資を締め出しており、手頃な住宅は更に入手しづらくなっています。
- 関税の負担増にもかかわらず、AIのトレンドが世界の鉱工業生産と貿易を支えてきましたが、その恩恵はいまだ不均等です。成長は、AIインフラに関連するコンピューターと部品に集中しています。台湾、日本、韓国、中国をはじめとするアジア経済は、半導体、サーバー、関連ハードウエアの生産を支配し、米国と同様の強靭性を示しています。その他の地域では、関税導入前の在庫積み増しが解消されたことから、生産が鈍化しています。
- 中国は、AIインフラの構築を加速し、製造業の生産性をさらに向上させながら、自国製品の新たな市場を模索しています。米国の関税措置により、米中間の貿易は減少していますが輸出価格の低下により、エマージング諸国への貿易の回帰は予想以上に円滑に進みました。それでも、消費の低迷と投資の減少により、中国は成長維持のための輸出と在庫積み増しへの依存度を高めています。
テクノロジーと財政政策が需要を後押し
PIMCOでは、2026年も経済全体の底堅さが続くと予想しています。成長の裾野がいくらか拡大すると予想する十分な理由もありますが、勝者と敗者の構図は今後も続くでしょう。
第一に、財政政策は国ごとに方向性が分かれます。一部の地域での財政政策の緩和は、貿易の落ち込みをさらに穴埋めする見込みです。中国、日本、ドイツ、カナダ、米国はいずれも財政政策を緩和する態勢を整えています。中国は中央政府の支援を通じて、米国は企業と家計に対する大規模な前倒し減税を通じて対応する見通しです。しかし、多くの国は財政余力が乏しく、英国、フランス、エマージング諸国の一部では政策が引き締め的なままです。
第二に、AIの導入が広がるにつれ、AI投資サイクルが世界経済の成長を支え続けるでしょうが、勝者と敗者が多数生まれることになるでしょう。米国では、データセンターの設備投資は2025年の高水準から減少するものの、AIの実装、ソフトウェア、研究開発への企業支出の拡大で相殺できる可能性があります。国家安全保障上の懸念から、諸外国がインフラ投資を強化していることも、さらなる追い風になる可能性があります。AIの優位性をめぐる競争では、遅れている地域や業界はリスクにさらされています。
第三に、貿易の不確実性と関税関連の悪影響も2026年に減っていく見込みですが、米国関税の合法性を巡る政策変更は避けられません。米最高裁は、国際緊急経済権限法に基づいて実施された関税の一部または全部を無効とする構えを見せています。トランプ政権が関税政策をより安定的で法的に担保された枠組みへと転換するにつれ、さまざまな地域やセクターは調整を迫られることになりますが、一方で、不確実性の低下を背景に米国および世界全体で投資と雇用が再加速するとみられます。
ばらつきを見せる金融政策
過去2、3年でほとんどの中央銀行が利下げサイクルに乗り出しましたが、インフレの進捗状況に応じて利下げのスピードは異なります。現在、世界のインフレ率は概ね安定しており、ほとんどの中央銀行が2026年末までに中立的な政策水準に到達すると予想されます。しかし、追加利下げの見通しはより複雑になっています。
実質金利が依然として高く、財政政策が緊縮的な国、特に中国からの輸出によるインフレ下振れリスクにさらされている国では、中央銀行はより積極的に利下げを行う構えです。イングランド銀行の他、さまざまなエマージング諸国の中央銀行がこれに該当します。
一方、金融政策が既に中立に近く、財政政策が拡大する見通しの他の国々では、追加利下げの必要性は限られています。その筆頭がカナダで、そこまでではないものの欧州もこれに当てはまります。日本では、日銀が依然として緩和的な金融政策を維持しつつ、財政政策も拡大されようとする中、更なる利上げが予想されています(図表2を参照)。一方、中国では、政策当局が債務デフレと過剰生産能力を管理するため、金融・財政両政策の大幅な緩和が予想されます。
最後に、市場は米連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利を3%にまでさらに引き下げるとの期待を織り込んでいます。PIMCOでも2026年にFRBの利下げを予想しており、年後半になる可能性が高いとみています。
FRBが新議長体制への移行期にある中、政権が利下げ要求を強めていることから、最終到達金利(ターミナルレート)については、依然として不確実性が残ります。さまざまなシナリオが考えられますが、市場は一貫して正統派の継続を織り込んでいます。これは、かなり常識的な候補者と、FRBの政策決定プロセスに埋め込まれた抑制と均衡(チェック・アンド・バランス)を反映したものです。
米国のインフレをめぐるリスクも、上振れ・下振れの両面を強めているように見えます。AI主導の生産性向上と停滞する住宅市場動向は、全体的な物価の抑制要因となりえます。一方で、関税、需要増大の財政政策、技術インフラの構築は、物価を押し上げる可能性があります。
底堅さの一方で残る脆弱性
経済の底堅さは続くと予想していますが、相反する要因や「持てる者と持たざる者」の二極化の動きが広がることで、以下のようなリスクが生じます。
- 米国のリスク資産のバリュエーション:従来のバリュエーション指標によれば、米国株は歴史的にも他市場との対比でも割高です。AI の導入がどの程度加速するか、AI によってどの程度の価値が創出されるのか(また、いつなのか)、そしてどの企業がその価値を獲得するかが、依然として重大な疑問として残っています。一方、信用スプレッドは引き続きタイトな水準です。
- K字型経済の持続可能性:資産効果による消費は、株式と住宅市場のさらなる上昇に依存しますが、割高なバリュエーションと、手頃な住宅価格が重視される状況で、上昇は難しくなっています。プライベート・クレジットの分野は、政策やAI関連の変化に特に脆弱であるように見受けられます。
- 政府の赤字と債務のダイナミクス:米国、英国、フランス、日本をはじめとする多くの先進国における厳しい債務と赤字のダイナミクスについては、長期見通しに変更はありません(詳しくは、2025年6月の長期経済展望「分断の時代」をご覧ください)。政府債務の平均金利は依然として潜在成長率の水準を下回っているため、債務は今のところ持続可能に見えますが、AIと貿易政策が投資トレンドを押し上げて金利の上昇圧力を生む場合、ソブリン債への圧力が高まる可能性があります。
- 中国の課題:住宅部門の複数年にわたる不振と、既に高水準にある世界の製造業シェアは、中国が生産と輸出主導の成長モデルをどれだけ長く維持できるかという疑問を強めています。中央政府による実質的かつより直接的な内需支援策がなければ、中国は成長目標の達成が困難になり、世界にディスインフレの影響を及ぼすことになるでしょう。
投資への意味合い:債券投資の好機をとらえる
数年にわたるリスク資産の好調なリターンを経て、株式のバリュエーションは高止まりし、信用スプレッドはタイトな状態が続いています。PIMCOの基本シナリオでは、成長は引き続き底堅く、一部地域では再加速する可能性もあると予想していますが、こうした楽観的な見通しは、ほとんどのリスク資産市場に既に織り込まれています。歴史的に見ると、こうした投資開始時のバリュエーションは将来のリターンに影響を及ぼし、将来リターンは投資家の期待を下回る可能性があることが示唆されています。
対照的に債券は、現在のバリュエーションでみると、株式と比べて割安です。パンデミック後の急激な価格調整を経て、高格付け債券の投資開始利回りは依然として魅力的であり、債券の持続可能なリターンの可能性を示唆しています。今日の投資家は、株式並みのリターンの可能性を犠牲にすることなく、質、流動性、ポートフォリオの分散を高める滅多にない機会を手にしていると言えます。
2025年は債券市場のリターンが全般に好調でしたが、ベンチマークとなる10年物米国債の利回りは、2026年1月7日現在で約4.15%と、3年以上にわたって維持されてきた3.5%~5%のレンジの中央に位置しています。他の先進国の10年物国債利回りも同様の傾向を示しています(図表3を参照)。これは、堅調な債券リターンが必ずしも金利全体の大幅な上昇に依存するものではないことを示しています。
むしろ、魅力的な開始利回りは、アクティブ運用者がアルファの投資機会を活用して5%~7%前後の利回りを目指すポートフォリオを構築するための基盤となります(詳しくは「Calculating the Active Advantage in Fixed Income」(英語版)をご覧ください)。アクティブ債券戦略は2025年、ここ数年で最高の成果を上げました。近年で最も刺激的なアルファの創出環境にある中、今後の見通しも有望です。
PIMCOの2026年の戦略は、多くの点で2025年の戦略を踏襲しています。世界経済の成長見通しが概ね良好で、多くの国で魅力的な利回りが期待できることから、PIMCOでは、先進国および厳選したエマージング諸国を含め、経済や政策の経路が異なる地域に分散投資したポートフォリオを選好します。全体として、PIMCOは柔軟性を維持し、バリュエーションや市場の歪みに応じて、エクスポージャーを追加ないし削減する方針です。
金利、デュレーション、グローバルな機会
イールドカーブがスティープ化していることから、余剰な現金を保有し続けている投資家は、潜在的な機会を逃している可能性があると考えています。現金を上回るパフォーマンスを示す債券に目を向けることで、投資家はより長期間にわたって魅力的な利回りを確保しながら、リスクをわずかに増すことで価格上昇の恩恵も享受できます。
金利エクスポージャーの指標であるデュレーションに対しては、グローバルな分散を重視しつつ、小幅なオーバーウエイトを維持しています(ポートフォリオの分散と強靭性を強化するための、その他の機会については、最近の記事「チャートで見る、2026年の投資アイデア」をご覧ください)。PIMCOでは引き続き2年から5年の満期の債券を選好していますが、長期利回りの魅力が高まるにつれ、カーブ・ポジショニングはよりバランスが取れたものになっています。
米国のデュレーションは依然として魅力的であり、米国の労働市場が減速する可能性やAI関連の株式のボラティリティに対するポートフォリオのヘッジ手段として役立つ可能性があります。一方、欧州のデュレーションは相対的魅力が低いと見ています。
オーストラリアのデュレーションはこれまで劣後してきましたが、特に市場が2026年の利上げの可能性を織り込みつつある現在、より広範なバスケット内では依然として有力な分散化手段です。ただし、PIMCOでは利上げの可能性は低いと考えています。
インフレ率が中央銀行の目標を上回り、短期的に再加速のリスクがあるにもかかわらず、長期のブレーク・イーブン・インフレ率は低水準にとどまっています。PIMCOでは、米物価連動国債(TIPS)、コモディティ、実物資産へのエクスポージャーを引き続き選好しています。
また、実質政策金利が高く、財政政策が引き締められ、インフレ・リスクがより均衡している国に、厳選された投資機会があると考えています。これに該当するのが、英国や一部のエマージング諸国です。
エマージング市場:分断された世界で際立つ個別の投資機会
エマージング諸国の投資環境は構造的に変化しています。政府債務総額の対GDP比は先進国より低く、金融政策の枠組みと経常収支は改善し、現地の資本市場は深化しています。皮肉なことに、複数の先進国は今や、かつて「エマージング諸国型リスク」と考えられていた財政動態を示しています。
アクティブ運用者にとって、こうしたばらつきは投資機会を生みます。エマージング諸国が一枚岩で動いていた2010年代と異なり、今日の環境では、金利・通貨・信用力の面で、きめ細かな国別の選択が報われ、ベータのタイミングを図るのではなく、構造分析を通じてアルファを創出できます。エマージング市場全体では、魅力的な投資開始利回りと、固有かつ分散可能な様々なリスクが存在するとみています。
エマージング諸国の中央銀行は、インフレ率の低さと為替の安定を背景に、利下げを継続すると予想されています。PIMCOでは、国内のファンダメンタルズで正当化される以上にイールドカーブがスティープ化している南アフリカとペルー、そして大規模かつ長期的な利下げ余地があるブラジルで、デュレーションのオーバーウエイトを選好しています。
米ドルについては下落する可能性があるとの見方を継続しています。その理由として、FRBの金融緩和サイクルの継続、長期的な財政懸念、そして投資開始時バリュエーションが、先進国通貨に比べてエマージング諸国通貨のオーバーウエイトを有利にする状況が挙げられます。エマージング通貨は、PIMCOのエマージング専用戦略以外で当資産クラスにアクセスできる流動的な手段を提供します。慎重に管理し、十分に分散されたエマージング・エクスポージャーのバスケットによって魅力的なインカムを創出できる可能性があります。
クレジット:前向きながらも厳選
クレジットに対するPIMCOの姿勢は引き続き前向きですが、より選別的になっています。PIMCOでは、創業以来50年以上にわたり、多くのクレジット・サイクルを経験してきましたが、最近の好調なリターンは投資家の警戒感を薄れさせ、クレジット・サイクル後期に見られる特有の兆候が見られます。
近年の引受基準の緩和を踏まえると、特に企業市場の変動金利セクターにおいて、クレジットのファンダメンタルズは引き続き悪化すると予想しています。ヘルスケア、小売、テクノロジーなどの分野ではファンダメンタルズに圧力が見られるため、業界や単一銘柄のエクスポージャーが重要になります。
借り手が借入を増やして債務の返済に充てることを可能にするPIK(繰延利息)条項など、財務条項の修正が増加しています。こうした傾向は、表面的なデフォルト率を低くみせることで、潜在的なストレスを覆い隠す可能性があります(図表4 参照)。
また、リスク評価の指標として格付け機関のレーティングに過度に依存するケースや、実際の投資戦略が提供できる以上の流動性を約束する商品が確認されています。こうした状況は、近年のプライベート・クレジット市場の急成長を背景に生じています。
このような局面では、PIMCOは一般的なクレジット・エクスポージャー(ベータ)を減らし、独自のボトムアップ分析と銘柄選択に重点を置きます。
PIMCOでは、米政府系モーゲージ債(MBS)を引き続き選好しています。政府系MBSは、堅固な構造特性、豊富な流動性、魅力的なスプレッドに支えられ、企業クレジット・ベータの部分代替として有効です。
PIMCOでは、クレジット市場を「パブリック」と「プライベート」に分けて捉えるのではなく、景気感応度と流動性リスクの連続体として評価し、こうしたリスクに対する十分なリターンを得られるかを重視しています。また、柔軟性の高さや規制の緩さなど、企業がパブリックではなくプライベート・クレジットを選択する理由と、それが投資家にとって何を意味するかを考慮します。
安定したキャッシュフローと堅固なバランスシートを備えた投資適格債の発行体が、PIMCOのクレジット戦略の中核です。PIMCOでは、投資適格の公募債市場の潤沢な流動性を高く評価しており、投資家が敢えて投資適格の私募債に投資する際は厳選すべきであり、より流動性が高い投資機会に対する追加的なスプレッドが限られている場合は、特に慎重になるべきだと考えます。
PIMCOの規模を活用した、ユニークで構造的に優れたクレジットの投資機会を引き続き追求しています。スプレッドの魅力が乏しく、担保が弱く、貸し手保護が乏しい質の低い取引は避けるよう努めています。アセット・ベースド・ファイナンス、不動産クレジット、構造がしっかりしたインフラ債務などの担保付融資がアウトパフォームすると予想しています。コーポレート市場の質の低い領域は、タイトなスプレッド、引受基準の弱さ、全般に広がる慢心の兆候を踏まえると、期待外れの結果になる可能性が高いでしょう。
堅固な担保と明確な構造的保護を提供する分野に、引き続き価値を見い出しています。こうした機会は、流動性の高い証券化市場と流動性の低いアセット・ベースド・ファイナンスの両方に存在し、特に高所得の消費者に関連する分野に機会があるとみています。不動産デットは、人気は低いものの、資産価値がピーク水準を大幅に下回っていることから恩恵を受けています。
ハイイールド市場では、財務制限条項の劣化やスポンサーの行動によるダウンサイド・リスクが大きくなる場合、慎重な姿勢を取っています。ダイレクト・レンディング、バンクローン、および質の低いハイイールド債は、貸し手保護の質や、流動性に疑問があるため、特に注意が必要です。これらの市場における過剰な資本形成は、結果としてパッシブ型投資戦略に類似した機械的な融資活動が増えています。
結論
過去数十年にわたり、潤沢な資本、低金利、安定した世界秩序を背景に、分散の必要性は低下していました。対照的に今日の環境は、ばらつき、双方向リスク、そして地域ごとに異なるスピードで進む経済によって特徴づけられます。これにより、グローバルな金利、エマージング市場、質の高いクレジット、証券化市場全般で幅広い投資機会が生まれており、アクティブ運用の価値が高まっています。
PIMCOの経済予測会議について