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プレスリリース/お知らせ

PIMCOのリチャード・クラリダ、FRBは「様子見」の局面との見方

―原油価格の変動とAI投資がFRBのインフレ見通しを複雑化―
PIMCOのリチャード・クラリダ、FRBは「様子見」の局面との見方
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要旨

  • PIMCOのグローバル経済アドバイザーで、元米連邦準備制度理事会(FRB)副議長のリチャード・クラリダは、「FRBは年内は政策金利を据え置くと見ているが、インフレ改善が続かなければ、利上げの可能性も十分ある」と指摘
  • PIMCOは、地政学的な分断、エネルギー市場の変動、AI関連の設備投資を、今後5年間のインフレ、金融政策、投資機会を形作る主要な要因と位置付け
  • 日本についてPIMCOは、インフレがより正常な水準に落ち着き、日本銀行による金融政策の正常化の進展を背景に、円建て債券に魅力的な投資機会を見込む

債券のアクティブ運用における世界的リーダーであるPIMCO(パシフィック・インベストメント・マネジメント・カンパニー・エルエルシー)は、米連邦準備制度理事会(FRB)が当面「様子見」の姿勢を維持するとの見方を示しました。政策当局者は、インフレ率が目標水準に向けて再び低下しつつあるのか、あるいは原油価格のボラティリティの再上昇、地政学的緊張、AI関連の投資支出によって高止まりしているのかを見極める必要があるためです。

この見解は、PIMCOのグローバル経済アドバイザーで、元FRB副議長のリチャード・クラリダが、7月23日に東京都内で開催された日本の報道関係者向け説明会で示したものです。

今回の説明会は、PIMCOが今年6月に公表した2026年長期経済展望「断裂する世界とレジリエンス(Rupture and Resilience)」を受けて開催されました。この長期経済展望は、クラリダ、グローバル債券担当最高投資責任者(CIO)のアンドリュー・ボールズ、グループ最高投資責任者(グループCIO)のダニエル・J・アイバシンが執筆したものです。向こう5年間の世界経済および金融市場に関するPIMCOの見通しを示すとともに、地政学的な分断、財政のひっ迫、エネルギー安全保障、大規模なAI投資により、投資家が直面し得るシナリオの幅が広がっていると指摘しています。

FRBの金融政策見通し

クラリダは、FRBの金融政策運営は、2026年後半にインフレ率がどのように推移するかに大きく左右されるとの見解を示しました。

「FRB内では意見が大きく分かれています。PIMCOはコアインフレ率が既にピークを迎えたと考えています。インフレ率が2.5%を下回り始めるのであれば、FRBは年内を通じて政策金利を据え置き、利下げを検討する可能性があります。しかし、インフレ率が3%を上回る水準にとどまる可能性も十分にあり、その場合、FRBは利上げを求める圧力に直面する可能性があります」とクラリダは述べました。

クラリダはまた、FRBの見方が今年3月以降、大きく変化したと指摘しました。3月時点では、連邦公開市場委員会(FOMC)の参加者のうち、2026年の利上げを見込む参加者はおらず、12名が利下げを予想していました。しかし、インフレ指標の悪化を受け、6月時点では9名が利上げを予想し、利下げを予想した参加者は1名にとどまりました。

「最終的にFRBが今年どのような政策判断を下すかは、インフレ動向次第です。利上げは十分にあり得ますが、PIMCOの基本シナリオでは、FRBは年内を通じて政策金利を据え置くとみています」ともクラリダは述べました。

原油価格とインフレ期待

さらにクラリダは、エネルギー価格は引き続き不確実性の重要な要因になっていると指摘しました。中東情勢の緊張が続くなか、原油市場ではボラティリティの上昇とリスク・プレミアムの拡大が見られるものの、足元の先物市場は、原油価格が1バレル=100米ドルを超える水準で継続的に推移することを織り込んでいないと述べました。

「原油価格の上昇が重要なのは、総合インフレ率への直接的な影響だけではありません。各国の中央銀行は、二次的な波及効果を回避することを重視しています。重要なのは、原油価格の上昇がインフレ期待を押し上げ始めるかどうかです。現時点ではそのような動きは見られていませんが、中央銀行はこの点を極めて注意深く見ています」とクラリダは述べました。

AI投資:短期的にはインフレ圧力、長期的には生産性向上の可能性

クラリダはまた、データセンター、発電設備、半導体、建設分野への投資を含むAI関連設備投資が、マクロ経済に及ぼす影響についても言及しました。

「AIに対して楽観的な見方を持つことと、短期的な物価上昇圧力を懸念することは両立します。AIによる生産性向上の恩恵を享受するには、データセンターや発電設備への多額の先行投資を行う必要があります。現在、AI関連投資に伴う需要の拡大がみられ、それが物価に一定の上昇圧力を及ぼしています」とクラリダは述べました。

一方、PIMCOは、時間の経過とともに生産性向上の効果が顕在化することで、AIがディスインフレ要因となる可能性があるとみています。

「生産性向上の恩恵は、市場の予想よりも早い段階で現れる可能性があり、AIによるインフレ抑制効果は時間の経過とともに大きくなると考えています。ただし、それはもう少し先の話です。」

PIMCOの長期経済展望では、AIインフラ投資を、エネルギー転換、防衛支出、サプライチェーン再構築と並ぶ世界的な設備投資サイクルの一部と位置付けています。これらの要因により、世界経済は、分断がさらに進み、変動性が高まる環境へ移行しており、政治や地政学が経済や金融市場に与える影響が一段と強まると分析しています。

ボラティリティが高まる環境での債券の投資機会

こうした背景のもと、PIMCOは、質の高い債券が引き続き魅力的な投資機会を提供すると考えています。クラリダは、近年の債券利回りの上昇により、債券投資家にとって「世代に一度のリセット(Generational Reset)」がもたらされ、過度な信用リスクや流動性リスクを負うことなく、ポートフォリオから魅力的なインカムを得ることが可能になったと述べました。

「投資家にとっては、非常に魅力的な投資開始利回りが見込める可能性があります。グローバルに分散された質の高い債券ポートフォリオは、株式に比べて大幅に低いボラティリティのもとで、長期的には株式リターンと競合し得る水準が期待されます」とクラリダは述べました。

また、アクティブ運用と慎重なクレジット選別の重要性も強調しました。信用スプレッドは依然として低水準にあるものの、投資適格債、エージェンシーMBS、証券化商品、一部の新興国市場などには投資機会があるとみています。

「クレジット市場には投資機会がありますが、ボトムアップによる個別銘柄の選別とクレジット調査を通じて見極める必要があります。十分な対価が得られないなかで、リスクを追求すべき環境ではありません」とクラリダは述べました。

日本市場の見通し:円建て債券に広がる魅力的な機会

PIMCOは、日本経済がより正常なインフレ環境へ移行することで、日本銀行による金融政策の正常化がさらに進むと予想しています。年内に追加利上げが1回実施されるというPIMCOの見方は、市場予想に概ね沿うものです。

10年物日本国債利回りは、概ね現在の水準付近で推移すると見込む一方、イールドカーブの傾斜が大きい状態が続いていることから、特に超長期ゾーンでは投資機会があるとみています。PIMCOでは、投資開始時点の高い利回り水準が魅力的なインカム収益の源泉になるとともに、日本国債が持つ分散投資効果の維持にも寄与するとみています。グローバル投資家にとっても、為替ヘッジ後の日本国債は、他の先進国市場と比べて、引き続き魅力的な利回りの源泉になると考えています。

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