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経済・市場コメント

分断が進む世界で高まるエマージング市場の重要性

世界は一極体制から多極体制へと移行しつつありますが、ポートフォリオはこの構造変化に十分に対応していない可能性があります。エマージング市場ポートフォリオ運用チームを統括するプラモール・ダワンが、高い実質利回り、より深い分散効果、そして次の市場サイクルを形作るAIとエネルギーというテーマが交わる投資領域として、エマージング市場が注目される理由を解説します。
Headshot of Pramol Dhawan

PIMCOでは、世界を2つの軸で捉えています。それが、AIとエネルギーです。

このAIとエネルギーというテーマに対して、レジリエントなポートフォリオを構築するには、エマージング市場の組み入れが極めて重要と考えます。

まず、エマージング市場にとって投資開始利回りの高さは大きな優位性の一つです。

投資開始時の実質利回りは、先進国対比で過去と比べても高水準です。中国を除くエマージング市場で、インフレ率は米国を下回る水準にあります。一方、インフレ率が低いなかでも、実質利回りは高水準を維持しています。この背景には、中央銀行が先手を打って対応していることがあるとみられます。

エマージング市場では利上げペースが非常に速く、利下げは緩やかです。一方、先進国市場はその逆で、利下げが早く、利上げは緩やかです。

債券投資の観点から見ると、エマージング市場の中央銀行は海外投資家により大きな恩恵をもたらしていると言えます。それが実質利回りの下支えとなります。こうした恩恵が存在することは、将来のリターンを見通すうえで最も有効な指標となります。

世界の経済活動の約3分の2はエマージング市場が占めていますが、資産配分比率は3~5%程度にとどまります。これに対して米国は、資産配分比率が約70~75%に達する一方、世界の経済活動の約25%にすぎません。こうした乖離は、収れんを見込んだ投資機会を示しています。問題は、その収れんがいつ起き、何がその契機となるかです。足元は、地政学的な分断の拡大により、収れんを後押しする局面にあると考えられます。これにより、個別リスク・プレミアムが改めて意識されています。

分散化は、ポートフォリオ・マネージャーのレベルでは個別リスク・プレミアムの追求、国レベルではエネルギー源の転換や安全保障面での自立を意味します。そして、企業レベルでは、ここ5年間で4回目の供給ショックに直面するなか、サプライチェーンの分散化が求められています。分散は、あらゆるレベルで重要なキーワードとなっています。ポートフォリオ分散の観点では、現状の構成比率が高い米国から分散を図りつつも、利回りを維持していくことが重要と考えられます。

これを図で捉えると、分散と個別リスク・プレミアム、さらに米国対比での利回りの優位性といった要素が重なる中心に、エマージング市場は位置します。

PIMCOはエマージング市場における最大級の投資家であり、世界各地に100名を超えるエマージング債券の専門チームを配置しています。業界でも最大級の体制です。

エマージング市場で重要なのは、マクロの見通しを的確に当てることではなく、投資対象と個別銘柄の選択を適切に行うことです。現在は、エマージング市場にとって重要な局面にあると考えています。そして何より重要なのは、現在のグローバル環境です。分断が進む世界において、エマージング市場の重要性は一段と高まっています。

ご留意事項

2026年6月10日収録

全ての投資にはリスクが伴い、価値は下落する場合があります。債券市場への投資は市場、金利、発行体、信用、インフレ、流動性などに関するリスクを伴うことがあります。ほぼ全ての債券及び債券戦略の価値は金利変動の影響を受けます。デュレーションの長い債券及び債券戦略は、より短い債券及び債券戦略と比べて金利感応度と価格変動性が高い傾向にあります。一般に債券価格は金利が上昇すると下落します。低金利環境下ではリスクが高まります。債券取引におけるカウンターパーティーの取引能力の低下が、市場流動性の低下や価格変動性の上昇をもたらす可能性があります。債券投資では、換金時に当初元本を上回ることも下回ることもあります。外貨建てあるいは外国籍の証券への投資には、投資対象国の通貨価値の変動や経済及び政治情勢に起因するリスクを伴うことがあり、エマージング市場への投資ではかかるリスクが増大することがあります。分散投資によって、損失を完全に回避できるわけではありません。

本資料には、資料作成時点でのPIMCOの見解が含まれていますが、その見解は予告なしに変更される場合があります。本資料は情報提供を目的として配布されるものであり、投資の助言や特定の証券、戦略、もしくは投資商品を推奨することを目的としたものではありません。本資料に記載されている情報は、信頼に足ると判断した情報源から得たものですが、その信頼性について保証するものではありません。和訳の正確性および改訂の適切性には十分配慮していますが、その正確性、完全性を保証するものではなく、原本の記載と和訳との間で内容に齟齬がある場合は英語版原本が優先します。

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