経済見通し:構造的要因と短期経済見通しへの示唆
今後6~12カ月の短期経済見通しは、長期的な構造要因に大きく影響されるとみています。PIMCOでは、2025年の長期経済展望「分断の時代」で初めて指摘した、貿易、安全保障、金融面における従来の同盟関係のほころびについて、2026年6月の長期経済展望「断裂する世界とレジリエンス」でさらに考察を深めました。そこから明らかになるのは、地政学が経済成長とインフレをより直接的に左右する要因になっているという構図です。
グローバル化が後退するなか、各国政府や企業では、より強靱な社会とサプライチェーンの構築に投資するインセンティブが強まっています。こうした要請とAIの台頭が重なり、技術革新と経済安全保障の相互作用が強まっています。AIへの投資、開発、導入の急速な進展は、企業と国家双方の優先課題に後押しされています。その結果、1990年代の通信・インターネットのインフラ整備に匹敵する設備投資サイクルが生じていますが、その進展は当時よりもさらに速いものとなっています(図表1参照)。一方で、成長を下支えする投資ブームが、新たな不確実性の源泉にもなっているという逆説があります。AIの技術進化が、そのガバナンスや安全性を担保する法整備を上回る速さで進展する可能性が懸念されているためです。
中東紛争によってエネルギー価格が急騰し、総合インフレ率を押し上げています。これを受け、紛争開始以降、金融政策をめぐる市場の見通しは変化し、利上げが織り込まれるなかで債券利回りが上昇しています。波及的な影響として、米国の住宅ローン金利の上昇や企業・政府の債務返済コストの増加が挙げられ、いずれも経済成長を下押しする可能性があります。
それでも、エネルギー輸入国や米国の関税引き上げに直面する貿易相手国を含め、世界経済は底堅さを維持しています。主な例外は中国で、長期化する住宅市場の低迷、弱い内需、既存の潤沢な生産能力が、経済活動とインフレの重しとなっています。
エネルギーコスト上昇のコアインフレ率や名目賃金の伸びへの波及は、これまでのところ限定的です。各国中央銀行は、引き続きインフレリスクを注視し、インフレ期待の安定的な維持に努めています。先進国・エマージング市場で見込まれる追加金融引き締めは、十分に周知され、すでに市場価格におおむね織り込まれています。PIMCOの基本シナリオでは、FRBをはじめとする主要中央銀行が、最終的に市場で織り込まれているほどの利上げを実施する必要はないとみています。
したがって、PIMCOの基本シナリオでは、エネルギー価格ショックの影響が薄れるにつれてインフレが鈍化し、世界経済の安定成長が続くと予想しています。こうした比較的良好な基本シナリオは、エネルギー価格が先物市場の織り込みに沿って今後徐々に低下するとの想定を前提の一つとしています。ただし、イラン紛争が激化、あるいは収束すれば、エネルギー価格が大きく変動する可能性があります。より本質的には、こうした良好な見通しを支えているのは、三つの下支え要因です。
- 世界的なAI設備投資は、景気を過熱させることなく拡大を続けています。AI関連の需要は、供給を上回る状況が続いています。最大手のハイパースケーラーは、インフラ整備の資金を営業キャッシュフローやバランスシートの余力で賄う形から、起債や簿外のコミットメントを活用する形へと移行しています。また、AIインフラ投資は、米国と中国が依然として主導する一方、世界各地で加速しています。
- 家計と中国は引き続き、エネルギー価格上昇による世界経済への打撃を吸収しています。家計の健全な財務基盤を背景に、消費者は貯蓄を取り崩すことで支出を維持しています。中国では、利益率の低下や在庫の取り崩し、国内需要の再生可能エネルギーへのシフトによって投入コストの上昇が吸収され、世界の財価格への転嫁は限定的にとどまっています。
- 中央銀行が政策を段階的に進める一方、AI関連分野ではリスク選好が続き、金融環境は比較的安定しています。賃金の伸びと単位労働コストの上昇圧力は和らぎ、長期的なインフレ期待も引き続き安定しています。また、足元のインフレ圧力の多くは、エネルギーをはじめとする労働コスト以外の要因によるものです。PIMCOでは、ウォーシュ議長率いるFRBが、政策運営の大枠と2%のインフレ目標を維持すると予想していますが、コミュニケーションの変化により、金利の短期ゾーンを中心にボラティリティが高まる可能性があるとみています。
同時に、AIは経済成長とインフレの構成そのものを変えつつあります。AI投資が一部の関連資材の価格を押し上げる一方、AIによる生産性向上への期待が株価を下支えし、資産効果をもたらしています。
AIはすでに、労働市場の構造を変えつつある可能性があります。高賃金でテクノロジーの影響を受けやすい一部の職種では、採用が相対的に大きく落ち込む一方、賃金上昇圧力も和らいでいます。こうした傾向が一段と強まれば、AIは生産性を高めると同時に、労働コストに起因するインフレを抑制し、経済全体のインフレ圧力に対して相殺的な影響を及ぼす可能性があります。
良好な基本シナリオながら、テールリスクは大きい
前述の三つの下支え要因がPIMCOの基本シナリオを支えているとすれば、その一つまたは複数が機能しなくなることが、主なダウンサイド・リスクです。AI設備投資、家計資産、金融環境の連動性が高まっているため、いずれか一つの下支え要因が機能しなくなれば、他の要因にもさらなる圧力がかかる可能性があります。以下の主要なリスクにより、基本シナリオの上振れ・下振れ双方で幅広い結果が生じ、結果の分布の裾が厚くなる、いわゆる「ファット・テール」となる可能性があります。
第1のリスク:経済成長をけん引するAI投資の減速・縮小
PIMCOでは、今後6~12カ月の短期的な見通しにおいて、AI設備投資が本格的な調整局面に陥る可能性は低いとみています。データセンター、発電設備、通信インフラの整備はまだ初期段階にある一方、半導体やコンピューターなど関連機器への投資は引き続き堅調です。
もっとも、AI投資が縮小しなくても、経済成長を下支えする効果は弱まる可能性があります。投資の伸びが鈍化すれば、GDP成長率への寄与も縮小していきます。AIの安全性をめぐる懸念、セキュリティ上の問題、特に米国中間選挙を控えて強まる政治的な逆風、インフラ制約に加え、資金調達環境の引き締まりも、投資を減速させる可能性があります。その場合、経済の底堅さは、弱まりつつある設備投資の成長押し上げ効果に代わるだけの生産性向上が、AIによって十分なスピードで実現するかどうかに、一段と左右されることになります。
一方、複数年にわたる長期的な見通しでは、AI投資ブームの崩壊は依然として大きなリスクですが、それがいつ起きるかは極めて不透明です。AIの導入が想定ほど収益につながらず、活用も広がらない場合でも、導入自体は続く可能性があります。クレジット市場では質の高いAI関連銘柄への影響が比較的限定的であったとしても、株式市場ではAI関連株の価格調整が大きな負の資産効果をもたらす可能性があります。足元では、米国の家計と米国外の民間部門の投資家の双方が、米国株式に大きなエクスポージャーを有しています。
第2のリスク:エネルギー供給ショックの悪化と、市場予想を上回るエネルギー価格
米国エネルギー省の報告では、ここ数週間、ホルムズ海峡を通過する原油の輸送量が持ち直しているものの、中東情勢の緊迫化により原油供給が滞り、在庫も減少しています。さらに、エルニーニョ現象が食料価格、肥料価格、海上輸送コストの上昇を通じて、インフレリスクを一段と高める可能性があります。また、エネルギーショックが一段と深刻化、あるいは長期化すれば、中央銀行による政策対応の可能性が高まるだけでなく、家計や企業の実質所得が一段と圧迫され、中国が投入コストの上昇を吸収し続ける余力も試される可能性があります。
第3のリスク:金融環境の急激な引き締まり
複数の供給ショックが重なれば、インフレを押し上げると同時に、需要を弱めることになります。その結果、金利の上昇、融資基準の厳格化、クレジット・スプレッドの拡大などが経済成長の重しとなる形で、世界的に金融環境がより引き締まる可能性があります。
そのきっかけとなり得るのが、中央銀行による一段の金融引き締めです。ここ数年、インフレ率が中央銀行の目標を上回り、供給ショックが相次いだことから、中央銀行は、新たな一時的ショックがインフレ期待に定着するリスクをこれまで以上に重視する可能性があります。このシナリオでは、政策当局は、市場が現在織り込んでいる以上の金融引き締めを実施することになります。
もっとも、金融環境が引き締まる要因は、中央銀行の政策に限りません。不確実性が高まるにつれ、幅広い資産でより高いリスク・プレミアムが求められる可能性があります。特に、エネルギー価格が高止まりし、AI投資の先行きへの信頼が揺らぐ場合には、その傾向が強まるでしょう。また、金利上昇によって脆弱性が顕在化し、金融市場の混乱や機能不全が生じるリスクが高まる可能性があります。
財政赤字は引き続き課題
多くの国で政府債務の対GDP比が過去最高水準に近づき、財政余力も限られるなか、エネルギー価格の上昇が世界的に債券利回りを押し上げ、政府の借り入れコストを増大させています。もっとも、PIMCOでは、世界的な債券利回りの上昇にもかかわらず、多くの先進国で政府債務は引き続き持続可能だとみています。英国、イタリア、日本は引き続き財政面の脆弱性を抱えています。なかでも日本では、財政赤字を拡大させる最近の政策により、脆弱性が一段と高まっています。ただし、現行の財政計画のもとでは、いずれの国も債務残高は持続可能な範囲で推移するとみられます。
債務の先行きがより厳しい国として、米国とフランスが挙げられます。米国については、イランとの紛争が長期化すれば、向こう6~12カ月で追加の財政支出が必要となる可能性があるものの、米国には依然として重要な優位性があります。その一つは、世界の基軸通貨である米ドルを発行していることです。また、他の多くの先進国に比べて税負担が軽いため、政治的な意思があれば、歳入を増やす余地も残されています。加えて、債務を所得との対比で捉える従来の指標ではなく、資産との対比で評価すると、米国の財政状況はかなり良好に見えます。
これに対して、フランスでは財政面での対応余地がより限られているとみられています。米国とは異なり、すでに税負担が重く、歳入をさらに増やす余地が小さいためです。債務残高の増加を抑えるには、いずれ財政を引き締める必要があります。ただし、大統領選挙をめぐる不確実性に加え、痛みを伴う改革への支持も乏しいことから、早期の解決は難しいとみられます。
PIMCOでは、財政をめぐる懸念により、世界の金融市場で断続的にボラティリティが高まる状況が続くと予想しています。もっとも、国債利回りは1年前より高く、こうしたリスクに対する投資家の対価も高まっています。さらに、各国政府が必要な財政改革に取り組めば、国債利回りには低下余地があります。英国で予定されている財政引き締めは、その好例です。
投資見通し:利回り上昇が債券にもたらす意味合い
2024年の長期経済展望「債券利回りの優位性」では、パンデミック後のインフレショックと利上げサイクルにより、債券利回りが数十年ぶりの高水準にリセットされた経緯を分析しました。2026年に入り、中東紛争が新たなインフレショックを引き起こし、債券利回りをさらに押し上げています。現在の高い利回りは、2022年には得られなかった水準のインカムをもたらし、債券価格の下落をある程度相殺する可能性があります。とはいえ、利回りが現在の水準に上昇するまでの道のりは、投資家にとって厳しいものでした。
今後の利回りの行方を見通すうえでは、これまで利回りを押し上げてきた要因を検証することが有用です。利回りの上昇にはいくつかの要因がありますが、その影響には濃淡があります。
- エネルギー価格の上昇と、それに伴う金融政策の見通しの変化が、実質利回りを押し上げる主因となっています。パンデミック後、実質利回り(インフレ調整後)と名目利回りはいずれも、その水準が大きく切り上がりました。足元の利回り上昇は、エネルギー価格の上昇を反映したものです。これにより、より広範なディスインフレ傾向が覆い隠され、市場では中央銀行による利上げが従来の想定より多く織り込まれています。重要なのは、ここ数カ月の名目利回り上昇を主にけん引してきたのが、インフレ期待ではなく実質利回りだという点です。10年物のブレークイーブン・インフレ率が示すように、インフレ期待はおおむね横ばいで推移しています。中東紛争が長期化すれば、金利上昇だけでなく、より幅広い資産価格の変動を通じて、いずれ世界的な金融環境が大幅に引き締まり、特にエネルギー輸入国の経済成長を下押しする可能性があります。
- 実質利回りを構成する二つの要素のうち、実質中立金利は上昇している一方、タームプレミアムは上昇していません。米国の実質中立金利(一般にr*と呼ばれます)の推計値は上昇しています。米国の複数の推計値の中央値からは、景気を刺激も抑制もしない基準となる実質金利であるr*が、パンデミック前の約0.5%から、足元では約1.5%に上昇した可能性が示唆されています。この上昇の多くは、生産性の向上と投資の拡大に支えられた米国の潜在成長率の上昇によるものとみられます。また、5年先5年物フォワードレートに織り込まれている、予想短期金利の平均値も上昇しています(図表2参照)。一方、ニューヨーク連銀のACMモデル(Adrian、Crump、Moench)によると、タームプレミアム、すなわち長期債を保有するリスクに対して投資家が求める上乗せ利回りは、比較的安定して推移しています。
- 足元の債券利回り上昇において、財政懸念の寄与は限定的です。財政面の課題は今に始まったものではなく、すでに市場価格に織り込まれているとみられます。利回りは幅広い年限で上昇しており、財政懸念の影響を受けやすい長期債に偏った動きではありません。また、利回りは世界的に上昇しており、米国よりも財政見通しが良好な国でも同様の動きがみられます。今後の主たる財政リスクは、さらなる財政緩和です。債券利回りの一段の上昇や、イールドカーブのスティープ化につながる可能性があります。
- AIインフラの構築に伴う大規模な社債発行も、利回り上昇の一因となっている可能性があります。米国債の発行が高水準にあるなか、ハイパースケーラーによる大規模な資金調達が、利回り上昇の一因となっている可能性があります。ただし、データが示す構図はそれほど単純ではありません。
今後については、中央銀行が引き続きインフレ抑制に取り組み、その姿勢への信認も維持されるとみています。こうした信認は、中期的な利回り見通しをめぐる投資家の不確実性を和らげ、債券市場を下支えする環境につながる可能性があります。最終的には、債券と株式の負の相関関係の回復が促され、デュレーション(金利ポジション)がポートフォリオの有効なヘッジ手段として機能する可能性があります。こうした負の相関関係は、時間の経過とともに再び現れる傾向があります。
足元では、投資家は中立金利の上昇に見合う利回りを得られる環境にあります。投資開始利回りは、その後5年間のリターンと歴史的に強い相関関係にあります。こうした投資開始利回りにより、債券は魅力的なインカムが期待できる資産であると同時に、不確実性の高い見通しに対する有効なヘッジ手段にもなり得ます。
債券利回りは足元で上昇したとはいえ、過去の長期平均に近い水準に戻ったにすぎません。この水準が最後にみられたのは、世界金融危機後に利回りが抑制された時代に入る前の、1990年代から2000年代初頭にかけてのことです。実質利回りがさらに上昇する可能性はあるものの、現在の利回り水準から得られるインカムは、幅広いシナリオのもとで債券のパフォーマンスを下支えし得ます。債券は、良好な絶対リターンおよび相対リターンを生み出すうえで、利回りの低下を必要としません。一方、AIを背景とするディスインフレが顕在化する場合など、利回りが低下すれば債券に一段の上昇余地が生じるシナリオもあります。
レジリエントなポートフォリオの構築
基本シナリオは良好である一方、結果の分布がファット・テールとなる環境では、投資家には、幅広いシナリオに対応できるレジリエントなポートフォリオを構築することが求められます。
質の高いデュレーションをグローバルに分散して保有
魅力的な投資開始利回りと、それによって得られるインカムは、インフレのテールリスクに対する有効な緩衝材となります。同時に、AI関連設備投資の勢いが鈍化する局面や成長ショックに対して、債券がヘッジとして機能する可能性も保たれます。先進国とエマージング市場に幅広く債券を配分することは、財政リスクを含む各国固有のリスク要因の分散に役立ちます。
幅広い年限で十分な利回りが得られるようになったことから、イールドカーブに対するPIMCOの見方は、よりバランスの取れたものになりつつあります。引き続き、中期年限(5~7年)の米国債を魅力的とみており、利回りの上昇に伴い、より長期年限の債券にも前向きな見方を強めています。中期的な時間軸で腰を据えて投資できる投資家にとって、魅力的な投資機会があるとみています。
足元の債券利回りが株式益回りに匹敵し得る水準にあるにもかかわらず、家計の資産配分は、過去と比較して株式と現金に偏重し、債券への配分が過小な状態にあることがデータから示唆されています。
クレジット市場とAI関連分野では選別的な姿勢を維持
AIインフラの構築は、クレジット市場における投資機会の中核を成しています。AI関連設備投資の多くは、向こう6~12カ月に前倒しされる見通しです。もっとも、クレジット・スプレッドはタイトな水準にあり、AI関連セクターで債券発行が増加するにつれて、関連銘柄間の相関も高まっています。
こうした環境を踏まえ、PIMCOでは、リスクに見合った十分な対価の確保を目指し、銘柄選別、相対価値の見極め、ダウンサイド・リスクの抑制を重視しています。AI関連クレジットについては、規制・法的リスクや米国中間選挙をめぐる政治動向を踏まえ、こうしたリスクに見合う、より高い利回りやスプレッドが求められる可能性があります。
AIによるディスラプション(破壊的影響)が広がるなか、分散投資の重要性は一段と高まっています。こうした環境下では、投資家には、どのセクターが破壊的影響を受け得るかを柔軟な視点で見極めることが求められます。その典型例はソフトウェアですが、破壊的影響が及ぶ可能性はより広範にわたり、AIの導入競争で後れを取る企業は、取り残されるリスクに直面しています。また他の分野でも、AIを活用した競争の激化によって、企業が事業撤退に追い込まれるまでには至らなくとも、利益率が圧迫される可能性があります。
金利の上昇は、すでに進行していたクレジットのデフォルト・サイクルに影響を及ぼすことになります。企業向けダイレクト・レンディングでは、リターンが近年の実績を下回り、投資家の期待に届かない可能性があります。とりわけ、良好なクレジット・金利環境を前提に組成され、格付けや流動性の制約が厳しい一部の投資ビークルでは、その影響が増幅される可能性があります。そして、こうした投資ビークルの多くは近年大幅に拡大しており、足元では金利上昇と信用力の悪化という二つの課題に直面しています。
こうした環境を踏まえ、PIMCOでは、セクター間の相対価値を見極めながら、クレジット配分を機動的に調整する方針です。その中で、実物資産ファイナンスやアセット・ベースド・レンディングに関しては、最近のパフォーマンスが良好だったことで、相対的なバリュエーションの優位性が縮小している領域も見受けられますが、引き続き魅力的な投資機会があると考えます。
供給サイドのリスクヘッジ手段としてコモディティと実物資産を検討
地政学的ショックやエネルギーをはじめとする供給ショックが頻発する環境では、経済成長の鈍化とインフレの上昇が同時に進むリスクを軽減できるポートフォリオを構築する必要があると考えます。コモディティや一部の実物資産は、経済成長と伝統的な金融資産の双方に逆風となり得る資源の希少性や供給制約へのエクスポージャーを提供することで、デュレーションを補完する役割を果たすと考えます。
結論
景気サイクルの基本シナリオについては、引き続き前向きにみています。しかし、こうした底堅さの一端は、事業機会と戦略上の緊急性という異例の組み合わせを背景とする投資ブームに支えられています。一方で、投資の拡大が、それに伴うリスクを管理する枠組みの整備に先行している可能性があります。こうした組み合わせは、生産性と経済成長の上振れにつながる可能性がある一方、通常以上に大きなテールリスクも生み出します。
PIMCOでは、基本シナリオのもとで投資機会を捉えつつ、こうしたテールリスクにも耐え得るポートフォリオを構築すべきだと考えています。足元の投資開始利回りは、債券の魅力を引き続き強く裏付けています。